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2023/03/05

自由化したのに認可制

4月から電気料金が値上げされるという話しがありますが、岸田首相が西村経産相に対して厳格な査定を行うように指示したそうで、少しだけ先送りされるようですね。

 

まあ、電気料金を支払う側としては非常にありがたい話しではありますが、電力各社が赤字を抱えているという話しもあるので、先送りして大丈夫なのかなあという気もします。

 

もちろん、電力各社は大きな会社ですので、ある程度の体力もあるでしょうし、大きいだけに銀行からの融資も受けやすいと思うので、すぐに倒産してしまうようなことはないでしょうし、

 

重要インフラですから、最後の最後には国が対応するのだろうとは思うのですが、それでも、赤字を抱えた状態が続くということになるのは良くないですからね。

 

それに、電力各社が今抱えている赤字は、企業努力が不足していたことによる赤字ではなく、燃料費の高騰を料金に反映しきれていないことによる赤字だと思いますので、

 

例えば、厳格な査定によって、人件費を削れ、経費を削れといったような話しになるのだとしたら、それはさすがにおかしいと思いますし、それ以前の話しとして、

 

電力自由化をしたのに、なぜ電気料金は認可制なのかといったこともあると思うので、厳格な査定とあわせて、今の制度自体を見直すことも必要ではないかと思います。

 

そもそもの話し、なぜ電力自由化をしたのかと言えば、電力の安定供給を保ちつつ、電気料金を安くするためで、本当にそれが実現されていれば、いくら燃料費が高騰したとはいえ、

 

今のような状態にはなっていないような気がしますし、逆に、今の状態があるということは、どこかで間違ったことをしてきたから(制度上の問題)ではないかと思うのですよ。

 

電気料金の最大限の抑制を掲げて電力自由化をしておきながら、電気料金が高騰して数兆円もの税金を投入するなんて、さすがにおかしいと思いますし、

 

このタイミングで電力各社の値上げ申請を安く叩くようなことをするのは、国民の批判をかわすためとしか思えませんし、責任回避というか、責任逃れではないかと思います。

 

ちなみに、電力会社の最終損益(通期見通し)は、以下のような感じらしいですね。

 

北海道 ▲ 530 億円

東 北 ▲2,200

東 京 ▲3.170

中 部   500

北 陸 ▲ 900

関 西 ▲ 450

中 国 ▲1,740

四 国 ▲ 250

九 州 ▲ 750

沖 縄 ▲ 430

 

黒字見通しなのは中部電力だけで、他の電力会社はすべて赤字見通しですが、特に注目すべきは東京電力の赤字額で、これはさすがにまずいと思います。

 

もちろん、今も東京電力に対する批判はあると思いますし、それだけに、東京電力を助ける必要はないと思われる方も一定数はいるような気がしますが、

 

廃炉プロジェクトを進めているのは東京電力なので、東京電力が倒れてしまうと廃炉作業も進みませんからね。少なくとも、そのあたりの話しへの理解は必要だろうと思います。

 

あと、これはネットに出ていた話しなのですが、他の電力会社に比べて、東京電力の新卒3年後の離職率が高いそうです。就職四季報に出ている数字とのことですが、

 

他の電力会社の新卒3年後の離職率が0~7%なのに対して、東京電力は約15%だそうで、若手社員の士気が低下しているのではないかという指摘もあるようです。

 

まあ、厚生労働省の資料によれば、新卒3年後の離職率の全業種平均は30%ちょっと(事業所規模が1,000人以上だと25%前後)らしいので、それと比べると低いですが、

 

こういう数字は業種によって傾向が異なると思いますので、そう考えると、東京電力に固有の事情があるのではないかという話しも、わからなくはないですね。

 

ただ、最近は短期離職が当たり前みたいな風潮もあるような気がするので、それからすると、東京電力が先を行っていると言えなくもないとは思いますが。

 

でも、電力会社のような、社会インフラを支えるような業種の場合は、長期的、かつ、継続的に技術を身につけるような働き方のほうが良いのではないかという気がしますし、

 

そういう人が少なくなると、事故やトラブルが起こりやすくなるような気がするのですよね。社会インフラでトラブルや事故が起こるリスクがあるというのは、さすがにまずいですよ。

 

また、電力会社を含むインフラ企業では、若手や中堅の社員が不足しているという話しもあるようで、この話しが事実だとすると、時間の経過とともに、

 

経験知や感覚知みたいなものが失われていくのだろうと思いますし、そういうものが失われてしまうと、インフラの保守や修繕、運用といったことが困難になってしまうような気がします。

 

最近流行りのAIでそういうところが補えるのなら良いのですが、人間が長い時間をかけてやってきたことが、そう簡単に機械に置き換わるとも思えないので、

 

人は大事にしたほうが良いと思いますし、待遇を上げてでも、若くて優秀な人材を確保して、そういう人が同じところで長く働けるようにしたほうが良いのではないかという気がしますね。

 

 

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