賃貸より安くて世界が見える住まい
暇つぶしにネットのニュースサイトを見ていたところ、記事の中に、海外のリモートワークの話しがあったので読んでみたのですが、まあ、日本とは事情が違うというか、
日本では考えられないような話しだなあという気がしました…というか、そもそも、こういう話しで日本と海外を比較してはいけないのかもしれませんけどね…
ということで、記事にあったリモートワークの話しなのですが、これは、Meta(以前はFacebookですね)に勤務する28歳の男性エンジニアの話しで、
彼が、2025年に出航予定のクルーズ船の船室(というよりは、乗船する権利と言うべき?)を、30万ドルで12年間借りる契約をしたという話しから始まります。
まあ、Metaと言えば、超がつくくらいの一流企業ですからね。30万ドルと言えば大金ですが(1ドル100円で計算しても3,000万円)、問題なく支払えるだけの収入はあるのだろうと思います。
また、30万ドルを12年間(144か月)で月割りすると、1か月あたり約2,100ドルですが(約21万円)、現在彼が暮らしているカリフォルニア州のサンディエゴという街の家賃相場はそれ以上らしく、
30万ドルで12年間生活できる場が確保できれば御の字ということのようです。(自分の想像をはるかに超える世界ですが、これが今のアメリカなのかもしれません)
もちろん、1か月あたり2,100ドルというのは家賃だけなので、これ以外に生活費がかかるわけですが、彼が乗船予定のクルーズ船の場合ですと、
それも月に2,100ドルくらいということなので、合計で月に4,200ドル支払える能力があれば、クルーズ船で優雅に暮らすことができるということです。
記事によれば、月に2,100ドルで、クルーズ船内のジムや娯楽施設を利用したり、定期健康診断を受診したり、食事や洗濯などのサービスを受けることができるようなので、
まあ、ふつうに生活できますね…というか、ふつう以上の暮らしができますね。しかも、船内ではお客様扱いでしょうから、至れり尽くせりだろうと思います。
そして、そういう生活が、世界各地を旅行しながらできるわけですから、まさに、「賃貸より安くて世界が見える住まい」だろうと思います。(羨ましい限りです)
でも、どうなんでしょうね。実際に乗船するのは2年先というのも気になりますが、もっと気になるのは、この男性が、2年先もMetaに雇用されているかどうかです。
アメリカの場合、日本のように解雇に制約があるわけでもないので、ある日突然解雇ということも考えられますし、そうなったら、12年契約という期間の長さが重荷になりそうですし…
まあ、Metaで仕事ができるくらい優秀な人であれば、仮にそうなっても次の職場はすぐに見つかりそうですが、クルーズ船で生活しながら就職活動ができるのですかね?
それとも、Metaのようにリモートワークを認めている会社であれば大丈夫なのだろうか…と、自分が心配する話しではないですが、気にはなりますね。
それに、定期健康診断で病気が見つかってしまったら…といったことまで考えると、12年間の契約というのは、どうなのかなあと思ってしまいます。
あと、リモートワーク自体が続くのかということもありますよね。例えばTwitterでは、経営者が変わったとたんにリモートワークが否定されましたので、Metaもそうなる可能性はあるわけですし…
また、これも余計なお世話ではありますが、12年間のリモートワークというのもどうなのかなあという気がします。クルーズ船に乗っているということは、
その間、同僚と直接会うことはほとんどないということだと思うので、そういう関係性の中で、仕事はうまくいくのだろうか…と思うのですよ。
まあ、そもそもの話し、Metaの中核事業はメタバース(コンピュータの中に構築された3次元の仮想空間やそのサービス)になるということなので、それもあってのリモートワークなのかもしれませんけどね。
ただ、このあたりの話しは、リモートワーク肯定派と否定派とで意見のわかれるところでもあると思うので、そういう意味でも気になっています。
一応、肯定派の意見のいくつかを見ると、最低限、テキストコミュニケーション(メールなどによるコミュニケーション)能力と、自分で課題や問題を見つけて取り組んでいける能力があれば、
リモートワークでも大丈夫ということらしいのですが、問題は、テキストコミュニケーション能力だと思うのですよね。この能力を大雑把に言うと、
文字が読める、文章が読める、文脈が読める、行間が読めるという四つではないかという気がするのですが、文字が読める、文章が読めるまでは良いとして、
文脈が読める、行間が読めるのあたりはわりと難しいと思いますし、多くの場合、この部分を直接顔を合わせてするコミュニケーションで処理していると思うので、
そう考えると、リモートワーク(というよりは、フルリモートワークというほうが良いかもしれませんが)でも大丈夫という人は、かなり限られるような気がします…
と、賛否両論のあるリモートワークですが、もしかすると、この男性がその答えになるのかもしれませんね。この記事の続報に期待したいと思います。