東京都でお米の配給があるらしい
昼休みの雑談で、同僚の一人が、「そういえば、東京都がお米を配給するっていう話しはどうなったの?」といった話しを切り出してきたのですが、
誰も関心がなかったようで、「ああ、そんな話しもあったね」といった感じですぐに終わりました。まあ、お米の配給の対象者は、住民税非課税世帯ということなので、
当事者がいなかったから…ということもあるとは思うのですが、税金が使われる話しなので、本当は、もう少し関心を持っていないといけない話しだとは思いますけどね。
源泉徴収という仕組みの優れたところは、こんな感じで、税金の使われ方に関心がなくなるということなのかなあ…と改めて感じましたよ。
毎月お給料をもらうたびに税金が天引きされるので、手間いらずで助かると言えばその通りなのですが、手間がかからない分だけ関心も無くなるのでしょう。慣れって怖いなあと思います…
ということで、お米の配給の話しに戻りますが、これは、「物価対策として、都内の住民税非課税世帯(約170万世帯)に、1世帯あたり1万円分の米を現物支給する」という話しなのですよね。
また、これは税金を使ってすることなので、予算という話しになりますが、報道によれば、関連事業費は約300億円で、12月に補正予算案が都議会に提出されるということです。
1世帯1万円で170万世帯なので、単純に計算すると、170億円の予算ということになるはずなのですが、そうはならないのが、こういう話しの面倒なところですね。
また、1世帯1万円分の米ということは、1世帯あたり25Kgの米といった感じかなあと思いますが、これが170万世帯ということなので、全体では、42,500トンの米ということになり、
それだけの量の米を調達し、それを各家庭に配付するコストといったことまで考えると、300億円かかるという話しも、おかしな話しではないかなあとは思いますが。
ただ、心配なのは、本当にこれだけの米を調達できるのかということですよね。それに、一時的とはいえ、米の流通量を増加させて問題がないのかといったことも気になります。
例えば、通常であれば、お米は精米した状態で売られるはずなので、これだけの量の米を精米するということになると思うのですが、そういうキャパシティがあるのかとか。
あと、気になるのは、お米券という仕組みがあるのに、なぜそれを使わずに、現物支給ということにしたのかですね。以前に給付金が支給されたときには、
「現金で配ると使われずに貯金されてしまう」といった話しがあって、それを避けるために現物支給にしたのかもしれませんが、お米券なら、そういうことは避けられそうな気がするのですよ。
もちろん、支給されたお米券を換金して…といったことも考えられますが、金券ショップでの換金率を考えると、そういうことをする人は限定されるような気がしますし…
と思って少し調べてみたところ、(お米券のような)「有価証券を配付する場合、財務省に資金決済証として2分の1の額を預託する必要がある」といった話しもあるらしく、
それを嫌って現物支給にしたという説もあるみたいですね。まあ、国や地方自治体がすることには、素人にはわからないハードルがあるということなのだろうと思います。
ただ、仮にお米券が使われるとしたら、お米を販売する小売店にとって一時的な収入増になるので、地域経済の活性化という点では、そのほうが良かったような気もしますけどね。
確か、東京都には米穀小売店の団体があったと思うのですが、東京都から事前にそういう団体に話しを持っていくようなことはしなかったのかなあ。
まあ、そういうことをすること自体、癒着みたいな話しにされて良くないということなのかもしれませんが、こういう話しは、関連する団体と協調して進めたほうが良いと思うのですけどね。
あと、これも仕方のないことだとは思うのですが、お米の配給の対象が、住民税非課税世帯という括りになっているのもどうかと思います。
「収入のない人=住民税非課税」なので、物価対策ということであれば間違ってはいないと思うのですが、収入のない人の中には、資産のある裕福な人もいれば、
年金でギリギリの生活をしている人もいますからね。可能であれば、後者のみを対象にしたほうが、より効果的で良いと思うのですが、こういうところは、
マイナンバーカードが普及して、実際に機能するようにならないとできないのでしょうし、その意味で、日本は遅れているなあという気がします。
また、住民税非課税世帯の中には、単身世帯が多いというのも、問題と言えば問題ですよね。単身世帯に対して、米を25Kgも配給したら、持て余してしまうような気がします。
お米って、精米してしまうと賞味期限が短くなりますからね。温度や湿度に気をつけて保存しても、2か月くらいではないかなあと思うのですが、
単身世帯、特に、食が細くなっているであろう高齢の単身世帯の場合、米25Kgは嫌がらせに近い量のような気がしますけど、本当に大丈夫なのだろうか。
ということなのですが、一番の驚きは、令和の時代に米の現物支給が行われるということですね。自分の感覚では、配給は、戦中・戦後の貧しい時代の出来事といった感じなのですが。