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2022/05/22

4,630万円事件の行方

山口県阿武町の4,630万円誤送金問題ですが、誤入金された給付金を使い込んだ男性(24歳)が逮捕されたことで、一区切りといった感じにはなりましたね。

 

ただ、一区切りしたとは言っても、本当に一区切りというだけで、どうやって誤送金された公金を回収するのかなども含め、前途多難であることには変わりなさそうですが。

 

でも、この男性もすごいですよね。自分が当事者だったら、一刻も早く返したいという気持ちになると思いますし、できれば、振込があったこと自体を無かったことにしてほしいと考えるでしょうし、

 

間違ってもそんなお金を使おうという気にはならないと思いますけどね。そんなことをしたら、後になって何を言われるか分かりませんし、場合によっては罪に問われるかもしれないわけですし…

 

といった今回の問題…というよりは、男性の逮捕で事件になりましたが、報道されている内容を見る限り、いろいろな問題があったようですので、

 

この機会に、改善すべきところは改善しておいたほうが良いのではないかと思いましたし、特に、こうした事例にすぐに対応できるような法改正も必要なのかなあという気がしました。

 

◆ 阿武町の問題

 

人口3,000人ちょっとの町で、かつ、住民税非課税世帯が463世帯ということなので、そもそもの話し、自治体として成り立っているのかという問題もありそうですが、

 

それはさておき、今回の事件については、少なくとも公金の振込業務に関する処理プロセスや承認プロセスに問題があったのは間違いないでしょうね。

 

フロッピーという古い手段を使っていたということは、以前からある手順で処理をしたということだと思いますが、それで問題が起こったということは、もとから緩かったのだろうと思います。

 

また、報道によれば、フロッピーとは別に振込用紙が出力されて、それが誤送金につながったと言われていますが、その振込用紙は、職員の誤操作によって出力されたのか、

 

あるいは、正規の手順で操作したのに出力されてしまったのかも気になるところです。もし後者であれば、間違いを誘発するシステムだったということでしょうからね。

 

そして、最大の問題は、男性の銀行口座に対する仮差押えの手続きや、男性に対して4,630万円の返還を求める訴訟の手続きが遅かったことだと思います。まあ、これも緩さでしょう。

 

【追記】後日の報道によれば、いろいろと対応していたようです。

 

◆ 銀行の問題

 

恐らくは、阿武町と長い付き合いのある地元の銀行が送金処理をしたのだろうと思いますが、そのあたりの関係性も、今回の事件に影響しているような気がします。

 

フロッピーと振込用紙とで、4,630万円という高額かつ同額の処理が2つ同時に出てきたのに、なぜ送金前に疑問に感じなかったのだろうと思いますし、

 

逆に、疑問に感じつつも送金処理をしてしまったということであれば、阿武町と同様、銀行も以前から緩かったのではないかという気がします。

 

また、逮捕された男性の預金(預金債権)は保護されるべきというのが法律上の考え方らしいので、男性によって預金が払い戻されてしまったのは、仕方のないことだったのだろうと思いますね。

 

ただ、金融機関としてそういった事情があることはわかっていたと思うので、阿武町に対して、男性の銀行口座の仮差押えなどを勧めていなかったとすれば、それはそれで問題だと思います。

 

◆ 男性の問題

 

4月8日に、本来の給付金である10万円と、誤送金された4,630万円がそれぞれ振り込まれ、その日のうちに阿武町から誤送金であることを知らされていたのに、

 

4月8日から18日にかけて毎日のように預金を払い戻し、誤送金された4,630万円を使い切ってしまったのは、悪質としか言いようがないですね。

 

今になって、反省していますとか、返済の意思はありますといった趣旨の話しをているようですが、男性の話しを信じる人はいないだろうと思いますし、恐らく、全額の返金は無理でしょう。

 

◆ 法律上の問題

 

「誤送金であっても預金債権は保護される」という判例があるそうなので、預金を払い戻した行為そのものを罪に問えるのかという問題はありそうです。

 

素人考えですが、「返済義務はあるが払い戻しは自由」というのが大原則で、「犯罪行為によって得た預金は払い戻しできない」というのが、唯一の例外ではないかという気がしますね。

 

また、男性は電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されましたが、仮に「犯罪行為によって得た預金でない限り払い戻しは自由」といった主張が通るとすると、

 

この罪で男性を裁くことはできないような気がします。これが誤送金ではなく、男性が阿武町に嘘の申告をして金銭を振り込ませたという話しではれば別でしょうけど…

 

ということなので、法律が現実に追いついていないのかなあという気がしますし、その意味で今回の事件は、法律の盲点を突いた事件でもあるような気がします。

 

また、男性が逮捕される前に、阿武町が男性の素性を明らかにしたことも、やむを得ないことだったとは思うものの、それで本当に良かったのかなあという気がします。

 

何しろ、男性が住民税非課税世帯(低所得者)だったことを、全国に公開してしまったわけですからね。男性から、名誉棄損で訴えられたらどうするのだろうと思います…

 

というか、訴えること自体はできると思いますし、本当に訴えて裁判になったら、いくら男性に非があるとしても、阿武町が負けてしまうような気がします。

 

   *

 

しかしまあ、これほど犯罪性が高い事件なのに、それがどのような罪になるのかがよくわからないとか、もしかしたら無罪になるかもしれないというのは驚きですね。

 

また、そんな感じですので、今回の事件は、新しい法律ができるとか、新しい判例が出るとか、そういったことでも歴史に残る事件になるような気がしました。

 

 

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