横並び意識の強い日本人
ゴールデンウィークも今日が最終日ですが、ニュース記事などを見た感じですと、今年のゴールデンウィークは、「行動制限なしのゴールデンウィーク、各地で混雑」といった感じだったみたいですね。
ただ、断続的だったとはいえ、行動制限が二年も続いていましたので、以前の状態に戻ったというよりは、少しずつ以前の状態に戻ろうとしているといった感じなのかなあという気がします。
まあ、いわゆる集団慣性というやつですね。他人がやっていることだと安心してできるけど、他人がやっていないことはなかなかすることができないという心理状態が続いているような印象がありますし、
「今年のゴールデンウィークは行動制限なし」とは言っても、出かける人もそこそこいそうだから自分も出かけてみようとか、逆に、様子見する人もそれなりにいるだろうから、
自分も様子見しようといった感じで考えた方が多かったのではないかという気がしますし、こうした傾向は、もうしばらく続くのではないかと思います。
ちなみに、集団慣性というのは、国によって違いがあるようで(いわゆる国民性の違いというやつですね)、次のような例え話しがあるのですよね。
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いろいろな国の人たちに何かをしてもらいたい場合、どのように声をかけたらやってもらえるのでしょう?
アメリカ人:今やればヒーローになれますよ
フランス人:決してやらないでください
イギリス人:紳士はこういうときにこそやるものですよ
ドイツ人:規則ですからやってください
イタリア人:すでに美しい女性がやっていますよ
日本人:みなさんやっていますよ
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まあ、当たらずとも遠からじかなあという気がしますが、特に、日本人に対する「みなさんやっていますよ」という言葉は、その通りではないかなあという気がします。
日本人って、自分で決めて行動するという人よりも、どちらかと言えば周囲の人に合わせて行動するという人のほうが多いような気がしますし、そういう国民性だからこそ、
例えば「マスクを着用しましょう」という空気になったときに、ほとんどの人がそれに協力したのだろうと思います。マスクをしない人から罰金を徴収したような国とは大違いですよね。
でも、その一方、いったんある方向に動き始めると、ずっと同じ方向に進んでしまうというか、なかなか考え方を変えられないという一面もあるような気がしますし、
また、方向が決まるまでに時間がかかるとか、方向が決まっても、その方向になかなか動き始めることができないといった一面もあるような気もします。
まあ、何というのですかね。横並びを望んでいる人が多いというか、横並びでないといけないと思っている人が多いというか、そんな感じなのかもしれません。
例えば、もう5年くらい前のことになりますが、政府や経済界が提唱した、プレミアムフライデーという名称の個人消費喚起キャンペーンがありましたけど、このキャンペーンの開始当初に、
プレミアムフライデーに参加しなかった企業に対して、主にどのような条件が整えばプレミアムフライデーに参加するかを聞いたアンケートがあったのですよね。
で、その結果(PDF)は…というと、
・関係先の企業がほとんど参加すれば自社も参加する(38.2%)
・効果や必要性などが納得できれば参加する(35.3%)
・生産性が向上し仕事が回れば参加する(25.3%)
といった感じでした。
まあ、「周囲がやるのなら自分もやります」なんですよね。しかも、仕事が回るかどうか(25.3%)よりも、よそと横並びになるかどうか(38.2%)のほうが重要という結果でした。
こうしたことからしても、いかに日本人の横並び意識が高いかがわかると思いますし、そういうことだから、いくら混雑緩和のために分散して休みましょうなどと言っても、そうはならないのでしょう。
あれだけ「密を避けましょう」と大騒ぎしたのですから、それをきっかけに、少しは休みも分散するのではないかと思ったのですけどね。(重症者が出なければ横並び優先ということなのだろうか?)
まあ、渋滞の名所と言われている東名高速の大和トンネルなどには、車線を増やすといった渋滞対策をしましたし、新幹線なども、混雑緩和のために増便したりして、
それで何とか済んでいるので横並びのままということもあるのかもしれませんが、それ以前に、休みが分散すれば、そういう努力も不要になるのではないかと思うのですけどね。
また、日本の有給休暇の取得率が低いのも、こういうところが原因のような気がします。みんなが休むときに休む。みんなが働いているときに働くでは、いつまで経っても変わらないと思いますよね…
と言いながら、自分もそんな感じで横並びのサラリーマン生活を送っているので、偉そうなことは言えないのですけどね。まあ、何だかんだ言いながらも、自分も日本人ということなんでしょう。