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2022/04/29

サラリーマンは絶滅危惧種?

今年に入ったあたりからでしょうか。ネットや雑誌でジョブ型雇用の話しを見ることが多くなったような気がするのですが、このジョブ型雇用というのは、実際どうなのでしょうね?

 

ネットや雑誌の記事を見ている限りでは、欧米企業を中心に普及しているジョブ型雇用が「善」で、日本で一般的なメンバーシップ型雇用は「悪」みたいな話しが多いようにも感じるのですが、

 

どちらの制度にもメリットもあればデメリットもあるでしょうから、そう簡単に白黒がはっきりするようなこともないでしょうし、また、いくらジョブ型雇用がグローバルスタンダードだからといっても、

 

それが日本に馴染むかどうかは別な話しだと思うので、仮に馴染まないところに無理をして導入するとなれば、良い結果は得られないと思うのですよ。

 

例えば、随分前に話題になった成果主義が良い例だと思いますが、これなどは、制度として定着したというよりは、制度としては残っていますけど…といった感じになっているようですからね。

 

もちろん、成果主義については、「企業の中で仕事内容が明確に定義されていないために、成果に対する評価が難しかった」といった話しもあって、

 

それがジョブ型雇用になれば、仕事の内容が職務記述書によって規定されるので、評価もしやすくなり、それにより成果主義もうまくいくようになるということらしいのですが、

 

仮にそうであれば、成果主義がうまく機能していないとわかった時点で職務記述書を導入すれば済んだ話しだと思いますし、それをしなかったということは、

 

そもそもの話し、職務記述書自体が日本に馴染まなかったということかもしれませんし、実際にそうであれば、職務記述書がベースになるジョブ型雇用もうまくいかないと思うのですよね。

 

まあ、成果主義のときには間に合わなかった職務記述書も、今では一般的になっているから大丈夫ということなのかもしれませんので、そう思っているのは自分だけかもしれませんが。

 

でも、いくら時代とともにサラリーマンの仕事の専門性が高くなっているとは言っても、誰もがスペシャリストと言われるくらい専門性の高い仕事をするようになった。

 

あるいは、なるというわけでもないと思いますので、仮に職務記述書が一般的になっているとしても、それをもとに仕事をする人は、限られた人のような気がするのですけどね。

 

それに、ジョブ型雇用の話しが出る前から、スペシャリストと言われるくらい専門性の高い人の採用はあったと思いますし、当然、その部分の仕組みなり制度なりもあるのでしょうから、

 

それで不都合がなければ、わざわざジョブ型雇用を導入しなくても良さそうな気もしますし…ということで、ジョブ型雇用ってどうなのかなあと思っています。

 

まあ、少なくとも、一部の雑誌に出ているような、「20年後にはサラリーマンが消滅し、スペシャリストだけになる」みたいなことにはならないと思いますし、

 

仮にジョブ型雇用が一般的になったとしても、従来からある、人材を採用してから育成するというメンバーシップ型雇用も、それなりの割合で残るような気がしますけどね。

 

世の中には、職務記述書が馴染まない仕事や、ジョブ型雇用では採用できない職場というのも、それなりにあると思いますので、そういうことろは、メンバーシップ型雇用を続けるでしょうし。

 

それに、メンバーシップ型雇用のほうが、学校を卒業したばかりの若い人が採用されやすいと思うので、そういう制度が残っているほうが、若者の失業率が低く抑えられて良いような気がしますし、

 

若いうちに、ジョブローテーションであるとかOJTであるとかを経験しておいたほうが、その人にとっても、その人を雇っている企業にとっても、メリットがあるような気もするのですよね。

 

特に、人を使う立場というか、管理職やリーダーになる人は、そういう経験をしてきたゼネラリストのほうが向いているのではないかなあと思います。

 

また、企業というのはチームで仕事をして成果を出すもので、そのチームの仕事は、すべてがきれいに定義、記述できるものでもないと思うのですよ。

 

なので、ジョブ型雇用によって、サラリーマンの集団がスペシャリストの集団に生まれ変わりますと言えば聞こえは良いですが、それで生産性が上がるかどうかは、別な話しのような気がします。

 

まあ、このあたりも、自分がスペシャリストのことを個人商店のように考えていることからくる発想なので、こういう発想自体が的外れである可能性もあるわけですが。

 

あと、気になるのは、時代の変化によって、職務記述書に書かれている仕事自体が必要なくなるとか、異動の話しとかがどうなっていくのかですね。

 

ジョブ型雇用によって、この仕事をお願いしたいという話しで採用された人が、その仕事が無くなりますとなった場合、退職してもらうということになのでしょうか?

 

あるいは、ジョブ型雇用でお願いされた仕事があるうちは、ずっとその仕事を続けることになるので、あなたが異動することはありませんとなるのですかね?

 

ということで、まだまだわからないことが多いジョブ型雇用ですが、企業の生産性も上がり、働いている人の満足感も上がるといったWin-Winの関係になるような制度だと良いと思います。

 

 

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