賢い人と愚かな人の違い
昼休みの雑談中に、同僚から、「その人が賢いと思っている人と、逆に、その人が愚かな人だと思っている人がわかると、その人が持っている価値観がわかると思うよ」といった感じの話しが出て、
その話しは、「まあ、確かにそうかもしれないね」といった感じで終わったのですが、内心では、実際にこういった質問をされて、すぐに回答できるものなのかなあといった疑問も感じました。
というのも、「賢い」という言葉は、多少は使う機会のある言葉だと思うのですが、「愚か」という言葉は、なかなか使う機会のない言葉ではないかと思ったからです。
そして、多少は使う機会のある「賢い」という言葉に当てはまるような人のことはすぐに頭に浮かんでも、ふだん使う機会のない「愚か」という言葉に当てはまるような人のことは、
よほどのことをして、それが原因で尋常でないほどの悪い結果を招いてしまった人が身近にいたといったことでもない限り、なかなか頭に浮かんでこないような気がしたのですよね。
また、仮にそういった人が身近にいたとしても、それを愚かな人として他人に話すかどうかということもありますよね。何となくですが、そういう話しは口にしないという人のほうが多いような気もします。
なぜなら、「賢い」という言葉は、「才知がある」とか、「利口である」といったポジティブな意味で使われるのに対して、「愚か」という言葉は、「思慮がない」とか、
「仕方に欠ける」といったネガティブな意味の言葉で、そうしたネガティブな言葉で他人を悪く言うことは、言った人の評価につながる場合もありますからね。
多少なりとも気心の知れた間柄ならともかく、ふだんのお付き合いの中でそういったことを聞かれたら、曖昧な回答で終わらせようとする人がほとんどではないかと思います。
もちろん、仲間内で集まって、「あいつは本当に馬鹿だよね」みたいに冗談交じりで会話するといったことはあるでしょうけど、そういうことは、仲間内だからできることですからね。
ただ、同僚がした、「その人が賢いと思っている人と、逆に、その人が愚かな人だと思っている人がわかると、その人が持っている価値観もわかる」という話しは、
確かにその通りだとは思うので、そうした点について、例えば仕事相手がどのように思っているのかを知っておくのは、必要なことなのかなあという気はしましたし、
直接相手に聞くというよりは、ふだんの会話の中で、相手がどのような人を賢いと思い、どのような人を愚かと思っているのかを感じ取れるようになったほうが良いのかもしれないなあとも思いました。
まあ、「相手の価値基準を知っておく」とでも言えば良いのかもしれませんが、特に仕事関係では、そういったことに関心を持っておくのも一つなのかもしれないですからね。
ちなみに、その話しをした翌日の昼休みに、話しを出した同僚に対して、「あなたが賢いと思う人と愚かと思う人はどんな人か」と質問してみたところ、次のような回答がありました。
「上司が右だと思っているときに、仮に正解は左だとわかっていても、それとなく右ではないかと言えるのが賢い人で、ストレートに左だと思うと言ってしまう人が愚かな人」
まあ、半分冗談交じりで言っていましたけど、何となく核心をついているような気もする回答でしたね。個人的には、賢いというよりは狡賢いではないかという気もしましたけど。
また、その話しのあとに同僚は、「何かあったときに、その人がどんな行動をするかを見て、何が賢くて何が愚かだと思っているのかを想像してみるのも良いと思う」といったことも話していたのですが、
まあ、これも確かにその通りかもしれないですよね。あと、やはり同僚も、「ストレートに聞くのは良くない」といった感覚はあるようで、そんな感じの話しもしていました。
そして、それに続いて同僚は、「例えば、思ったよりも売り上げが伸びたときの反応を見てみるのもいいかもしれない」といった話しをしてきて、そういうときに、
「有頂天になって俺の実力だと言い出す人」と、「偶然なのか何か理由があったのかを考え始める人」がいたとしたら、「どちらが愚かでどちらが賢いかがわかるでしょ?」とも言っていましたね。
まあ、特に営業職の場合、「俺の実力」と言えるくらいの性格でないと仕事を続けられないような気もするので、それを愚かとしてしまうのもどうかなあとは思ったのですが、
その一方で、営業職として成功している人を見ると、確かに後者なのかなあという気もするので、そう考えると、「俺の実力」と言ってしまう人は愚かなのかもしれません。(これが一流と二流の違い?)
また、同僚は、「お金絡みの話しも価値観の違いが出るよ」とも言っていたのですが、確かに金絡みの話しは、「うまい話しをすぐに信用する人」がいる一方で、
「うまい話しは絶対に信用しない人」もいるなど、極端な違いが出やすいような気もするので、その分だけ、価値観の違いもわかりやすいかもしれませんよね。
それに、どちらの人かによって、その人が「リスクを重視する人かどうか」とか、「結果に心を奪われやすい人かどうか」といったこともわかりそうな気がしますので、そうしたことも要チェックでしょう。
また、そうやって考えてみると、例えばもっとシンプルに、「良い結果が出たとき」とか、「悪い結果になったとき」とかも、価値観の違いを知るチャンスかもしれないですね。
ということで、この歳から賢い人になるのは難しそうなので、それについては諦めているのですが、せめて、愚かな人とだけは言われないようにしようと思います。