« 第100代内閣総理大臣は誰になるのだろう? | トップページ | 菅さんのままで良かったような気がする »

2021/09/23

名古屋入管に拘留されていたスリランカ人女性が死亡した事件について

今年の3月、名古屋出入国在留管理局に拘留されていたスリランカ人女性(33)が死亡するという事件がありましたが、ここ最近、改めてこの事件が報道されているようですね。

 

この事件については、すでに出入国在留管理庁から調査報告書が出されていて、関係者も処分されてはいるものの、問題が問題だけに、それで終わりということにはならなかったのでしょう。

 

また、これまでの報道を見た限りでは、死亡したスリランカ人女性の来日から名古屋出入国在留管理局での拘留、その後の死亡に至るまでの経緯は、

 

おおむね以下のような感じだったようですが、ネットに出ている話しなどからすると、必ずしも報道の通りというわけでもないようなので、経緯のあとに、関連する情報にも触れようと思います。

 

◆ スリランカ人女性の来日から死亡に至るまでの経緯

 

死亡したスリランカ人女性は、4年前(2017年)に留学生として来日し、スリランカで語学学校の教師になるため、日本語学校に通っていた。

 

しかし、同居していたスリランカ人男性から暴力をふるわれるようになったことで、日本語学校も休みがちになり、学費の支払いも滞ったため除籍処分となり、在留資格を失ってしまった。

 

(ここでビザが切れたということなんでしょうね。これ以降、スリランカ人女性は不法滞在者ということになると思います。)

 

そして、昨年(2020年)8月、同居していたスリランカ人男性からの暴力に耐えかねて交番に駆け込んだものの、在留資格がないということで名古屋入管に収容された。

 

収容後は、半年で体重が20Kgも減り、自力で歩行することもできず、車いすを使うようになった。また、いつ嘔吐するかもわからないような体調不良だった。

 

亡くなる2日前の3月4日に女性を診察した精神科医が出した診断書には、収容所から解放したほうが良いといった趣旨の内容が書かれていた。

 

しかし、名古屋入管は精神科医の意見を聞き入れず、その2日後、スリランカ人女性は多臓器不全により死亡した。

 

     *

 

以上が、これまでの報道をもとにした経緯ですが、ここだけを見ると、死亡したスリランカ人女性が不法滞在者であったという事情はあるにせよ、

 

名古屋入管が医師の診断を聞き入れずに拘留を続けたことは、スリランカ人女性に対する人権侵害としか言いようがないですし、なぜ仮放免などの対応をしなかったのかと思いますよね。

 

ただ、出入国在留管理庁の調査報告書(pdf)を見ると、女性は、名古屋入管に収容当初は帰国希望だったものが、支援者との面会以降は在留希望に変わったといった経緯や、

 

亡くなる2日前の医師の診断書には、「身体化障害あるいは詐病の疑い」といった趣旨の記載があったという話しもあって、必ずしも報道の通りの経緯だったわけではないようなのですよね。

 

ちなみに、5月頃でしたが、ネット上に亡くなる2日前の医師の診断書とされる画像データが出回ったことがあって、自分もそれを見たのですが、そのときは、

 

医師の診断書が外部に流出するなんてあり得ない。

 

亡くなった女性と支援者との面談の内容が書かれているが、こういった情報が医師に伝わる(というか、漏れる)ことがあるのか疑問。

 

仮に伝わって(漏れて)いたとしても、それをわざわざ診断書に記載するかについても疑問。

 

といった印象だったので、その画像データは偽物だと思っていたのですよね。(出入国在留管理庁の調査報告書を見てからは、本物か、本物を謄写したものではないかと思うようになりましたけど)

 

以下は、その画像データを文字にしたものです。

 

◆ ネット上に出回っていた亡くなる2日前の医師の診断書

 

ご紹介していただいた患者ですが、どのように考えたものか難しいです。本日の診療では、下記のように考えました。

 

★ 精神科 初診時サマリー

 

33歳、女性。スリランカ出身。名古屋入国管理局に拘留中。この1ヶ月ぐらい、食事摂取が低下、嘔気・嘔吐、幻聴、不眠、意欲低下、希死念慮などを生じた。血液検査ではとくに異常なく、中京病院の消化器内科ではとくに異常なし、と言われた。支援者から「病気になれば、仮釈放してもらえる」と言われた頃から、心身の不調を生じており、詐病の可能性もある。

 

診察時、患者はぐったりしているが、話は何とかできていた。手足の筋は弛緩気味。病的反射はみられず、自分で動かず、移動に介助が必要となっているよう。念のため、頭部CTをしたが、とくに異常なし。

 

確定はできないが、病気になることで仮釈放してもらいたい、という動機から、詐病・身体化障害(いわゆるヒステリー)を生じた、ということも考えうる。さしあたり、幻聴、不眠、嘔気に効果のかる薬を出して様子見とすする。

 

クエチアピン (100) 1錠
ニトラゼパム (5)  1錠 /寝る前

 

2週間後に再診とした。その後の様子を見て対応を考えることにしたい。

 

患者が仮釈放を望んで、心身の不調を呈しているなら、仮釈放してあげれば、良くなることが期待できる。患者のためを思えば、それが一番良いのだろうが、どうしたものであろうか?

 

(「効果のかる」「様子見とすする」は原文のままが、たぶん、「効果のある」「様子見とする」の誤入力でしょう)

 

     *

 

また、この事件について、事件が起こった翌月4月末の法務大臣の閣議後記者会見でも質疑があったようですので、以下にその一部を引用します。

 

◆ 法務大臣閣議後記者会見の概要(令和3年4月27日)

 

【記者】

 

入管法改正に関してお聞きします。

 

スリランカ人女性が亡くなられる2日前に診察された医師の情報提供書に,支援者から「病気になれば仮釈放してもらえる。」と言われた頃から心身の不調を生じ,詐病の可能性もあると書かれておりまして,入管が詐病を疑い,医師に支援者との面談情報が漏れていたことも分かりました。

 

結局死因が甲状腺炎からの多臓器不全ということなのですが,入管がこの詐病を疑っていたゆえに,ビタミン剤等の点滴もせず,入院措置ができなかった可能性が指摘されています。

 

改めて支援者との面談情報が漏れていたこと,また結果,入管側の詐病という認識がスリランカ人女性の死を招いた可能性,この点について大臣の見解をお聞かせください。

 

【大臣】

 

報道については承知しているところでございます。

 

中間報告の詳細に係る部分ということでございますので,出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思います。

 

今回の事案につきましては,必要に応じて更なる事実の確認などを行った上で,今後できる限り速やかに,当局の対応の適否等につきまして,評価・検討を加えて,最終的な調査結果を取りまとめることとしております。御指摘のありました仮放免を行わなかった点の評価につきましても,最終調査結果におきまして,お示ししたいと考えております。

 

     *

 

この質疑を見ると、法務大臣はリークされたという診断書の内容について否定していませんし、質問した記者も、診断書が偽物ではないかという疑問は持っていないように感じますね。

 

また、この記者は、亡くなったスリランカ人女性に対して、命に係わるような危険性のある助言をした(入れ知恵した)支援者が誰なのかについては質問していないようなので(そこを聞くべきでは?)、

 

もしかすると、この記者は、亡くなったスリランカ人女性に「病気になれば仮釈放してもらえる」といった話しをした支援者が誰であるかの見当がついているのかもしれませんし、

 

仮にその通りだとしたら、記者として極めて悪質ではないかと思いますね。人権がどうこう言う以前に、事件の後ろに隠れている事実に注目するのが、あるべき報道の姿ではないでしょうか?

 

それに、これまでにも、同様の手法で拘留中に仮放免された人がいるのではないかといった疑問もありますので、そういったことについても質問するのが記者の役割という気もしますね。

 

ということで、何となくですが、この事件には裏事情があるような気がしています。

 

 

« 第100代内閣総理大臣は誰になるのだろう? | トップページ | 菅さんのままで良かったような気がする »