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2021/03/12

業務の属人化の何が悪いのか

どこの職場でも、偉い人からの問題提起(という名のお説教)みたいな話しはあると思うのですが、自分の勤め先の場合、そんな話しの中に、業務の属人化は怪しからんという定番ネタがあるのですよね。

 

で、昨日も会議のあとに偉い人からその話しがありまして、一同、神妙に聞いていたのですが、話しが終わって偉い人が退席した途端に、業務の属人化の何が悪いわけ?みたいな話しになりました。

 

(ご本人の前で意見しないところは、サラリーマンの処世術といったところでしょうか…)

 

まあ、属人化という言葉にポジティブな意味を感じる人はまずいないと思うので、業務の属人化が良いことか悪いことかと聞かれれば、悪いことであるというのが共通認識だとは思いますけどね。

 

でも、実際に仕事をしている立場からすると、それを指摘されたところで何ともしようがないというところもあるので、業務の属人化の何が悪いの?といった反応になってしまうのだろうと思います。

 

一般に業務の属人化とは、業務が組織ではなく従業員についている状態。すなわち、その業務を担当している人にしか業務の内容や手順などがわからない状態になっていることを言いますが、

 

専門性の高い業務であり、かつ、そうした業務をこなせる人を育てる(もしくは採用する)ことが難しい状況の職場であれば、多かれ少なかれ業務の属人化は起こっていると思うのですよ。

 

実際、自分の勤め先もそんな感じですし…。

 

また、人を育てる余裕(他人から教わる余裕、他人に教えられる余裕)もなく、かといって人を採用する余裕もないところでは、いくら業務の属人化は怪しからんと言ってみたところで、そう簡単には改善できないと思いますし、

 

できることがあるとすれば、担当者でないと何もわからない(業務停滞や業務品質低下のリスク)という業務の属人化における致命的な問題だけは起こさないようにするといったことくらいではないかと思います。

 

そして、そうした中で少しずつ人事異動(ジョブローテーション)の促進や業務のドキュメント化(ドキュメンテーション)を進めることで、業務の属人化を排除していくしかないと思うのですよね。

 

ただ、そういったことをしたとしても、業務の属人化を完全に排除するのは難しいと思うなあ…。

 

例えば、ジョブローテーションでいろいろな経験を積んだとしても、それだけで専門的な業務ができるだけの能力が身につくわけでもないですし、ドキュメンテーションを推進して多くのドキュメントが作成されたとしても、

 

該当するドキュメントを探し出す能力や、探し出したドキュメントを読み解く能力がなければ、作成されたドキュメントを活用することはできないですからね。

 

 

また、いくら業務の属人化を排除するためとはいっても、ジョブローテーションやドキュメンテーションを積極的に(無理やりに)進めると、業務の空洞化という違った問題も出てくると思うのですよ。

 

例えば、業務の表面的なところは誰もがわかるけど、本質的なところは誰もわからないといった、ナレッジやノウハウが失われた状態になる可能性があるという問題ですね。

 

で、こうした業務の空洞化の何が悪いのかと言えば、少し大げさではありますが、一度失ってしまったナレッジやノウハウは、二度と戻らないということだろうと思います。

 

確かに、業務の属人化は問題ですし、改善したほうが良いことだとは思うのですが、改善を急ぐことで業務の空洞化が起こってしまうくらいなら、まだ業務の属人化が起こっている状態のほうがマシではないでしょうか…

 

というよりも、むしろ業務の属人化のデメリット(業務が停滞するリスクや業務品質が低下するリスク)を避けるだけでなく、業務の属人化のメリットを積極的に求めていったほうが良いような気がします。

 

例えば、担当者でないとわからないということは、担当者の裁量で業務が行われているということでもあるわけですから、仕事が任されているということに責任感を持ってもらい、それをモチベーションにつなげてもらうとか、

 

そのモチベーションによって、担当業務の効率化を進めてもらうとか、取引先のある仕事であれば、相手の企業の担当者から信頼感を得られるような対応を行ってもらうといったことを積極的にしてもらうとか…。

 

よく、従業員のことを人財という言葉で表現することがありますが、あえて業務の属人化を認めることで、その業務の担当者に、会社にとってかけがえのない人財になってもらうということですね。

 

また、そうすることで得ることができた、本人にとっても会社にとっても必要なナレッジやノウハウを上手に継承していってもらうことが、業務の属人化を排除する唯一の方法ではないかと思います。

 

業務が属人化していない職場。業務が標準化されていて、誰もが同じことができる職場は理想的な職場だとは思いますが、理想である以上、そう簡単には実現できないと思いますし、

 

一歩間違えば、一番能力の低い人に業務を合わせた職場ということになってしまう可能性もありますからね。誰もが同じことができるということは、そういった可能性もあるということだと思いますよ…

 

といったことを考えると、業務の属人化は悪いこと、避けなければいけないことというのは確かにその通りだと思うものの、それを杓子定規に推し進めるのは、あまり賢いやり方とは思えないですね。

 

また、その意味では、「業務の属人化の何が悪いわけ?」という意見も、決して的外れの意見ではないような気がしました。

 

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