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2018/01/12

過度のポリコレは対立の原因になる

黒人俳優に扮するために顔を黒く塗ってテレビ番組に出演した芸人に対して、批判が出ているそうですね。こうした行為は「人種差別」で、「日本は人権後進国」なのだそうです。また、この一件は、外国のメディアでも取り上げられたようです。

 

ただ、ネットにある情報を見る限りでは、番組内で差別的な言動があったわけではないようで、顔を黒く塗っていたこと自体が「不快」という意見があったことから、「差別」や「人権」といったことを言いだす人たちが出てきたようです。

 

でも、黒人俳優に扮するために顔を黒く塗るのが差別なら、白人俳優に扮するために金髪のかつらをつけるのも差別でしょうし、外国人が着ぐるみを着て相撲レスラーに扮するのも差別でしょう…といった話しになってしまいそうですがどうでしょうか?

 

感じ方というのは人それぞれですからね。同じものをみても、それを面白いと感じる人もいれば不快に感じる人もいます。特に、物まねなどであれば、そういった傾向が強いのではないでしょうか。俳優の真似をする人の中には、その俳優の特徴的なところを強調して笑いをとるような人もいますからね。

 

ただ、それを「差別」だと言って責めたら、世の中から「笑い」が消えてしまうと思います。笑いには、多かれ少なかれ「馬鹿だなあ」とか「間抜けだなあ」といった要素がありますからね。漫才の「ボケ」と「突っ込み」などもそうですが、「お前アホやな~」というところで笑うわけですし…。

 

それに、この話し自体も少し変ですよね。問題になったテレビ番組は大みそかに放送されたものだそうですが、それが新年早々、海外のメディアで話題になったわけです。ふつうに考えて、そんなことが起こるとは思えません。

 

おそらく、日本にいる誰かが意図的に情報を流したから海外のメディアに取り上げられたのだろうと思います。そして、取り上げられたことをきっかけに、「日本は人権後進国」というレッテル貼りを始めたのではないでしょうか。

 

確かに、今から100年くらい前の世界では、「ホワイトは優秀」「ブラックは奴隷」「イエローは猿」がふつうの価値観でしたからね。黒人に対するひどい差別があったのは事実でしょう。何しろ、レストランなどでも鉄道でも、白人専用があった時代ですから…。

 

また、差別に苦しんできた「マイノリティ」が、奴隷解放運動や公民権運動を起こしたことや、そうした中で「差別的な表現をなくそう」という、いわゆるポリティカル・コレクトネスという概念が出来上がったのも事実でしょう。

 

でも、その結果、当時のようなひどい差別が解消されたのも事実だと思いますよ。それなのに、いまだにそうした話しを持ち出して、何かにつけて「差別」と言い出すのは、少しばかり行き過ぎではないでしょうか。

 

そうした行き過ぎた行為は、問題を解決するどころか対立の原因になるだけだと思います。「差別をなくそう」は正しいと思いますが、差別という言葉を使って、「不快と感じたものを一掃しようとする」のは間違いですよ。

 

「マイノリティ」の意見を聞くことは大切なことだと思いますが、そうした明らかに極端な意見を聞き入れるような風潮になってしまったら、「ゴネ得」がまかり通る社会になってしまいますからね。

 

自分たちの思い通りにならないことを、「差別」を口実に大騒ぎしてやめさせるような「マイノリティ」は、「ノイジー・マイノリティ」ですし、そうしたことを認めてしまったら、社会が成り立たなくなると思います。

 

例えば、つい最近も、「朱子学と陽明学」という本の帯に「なぜ中国韓国はああなのか?」といった一文が入っていたことに対して、「差別」や「ヘイト」といったクレームがついて出版社が謝罪するという出来事がありましたが、これなども「ノイジー・マイノリティ」の一例だと思います。

 

尖閣諸島の問題について、なぜ中国はあのような対応をするのか…とか、慰安婦の問題について、なぜ韓国はあのような対応をするのか…と感じている人は多いと思いますし、それらを一言で「ああなのか」と書くのは、表現の自由の範囲だと思いますけどね。

 

ところが、こうした表現が気に入らないという人たちがいて、出版社に対して一斉にクレームをつけてくるわけです。そうなると、クレームを受けた出版社も、それがいくら少数で極端な意見であっても対応せざるを得ません。

 

苦情に対して「誠意ある対応」をしなければ、クレームがクレームを呼ぶことになってしまいますからね。そして、クレームをつける側も、それを理解した上でやっているのだろうと思います。

 

その結果、「なぜ中国韓国はああなのか?」という帯は無くなったようですが、今後、この出版社は萎縮して、当たり障りのない表現しかしなくなるかもしれませんね。

 

また、何となくですが、こうした「ノイジー・マイノリティ」が、「日本は人権後進国」と言って騒いでいるような気がします。この「日本は○○」といった表現自体、日本人を一括りにして侮辱するヘイトではないかと思いますけどね。

 

でも、そうした表現は「差別」でも「ヘイト」でもない…というのが今の日本なのですよね。例えば、最近できた「ヘイトスピーチ対策法」でも、日本人に対するヘイトスピーチは禁止されていませんので…。

 

この法律で禁止されているヘイトスピーチは、「日本以外の国・地域の出身者かその子孫」(本邦外出身者)で国内に住んでいる人に対する差別的言動のみですからね。

 

その結果、日本では、「日本が大嫌い」「日本人の思考性格が嫌い」「日本人は気違いだ」「日本人を許さない」「日本なんか殲滅してしまえ」といったことが書かれたプラカードを掲げたデモが自由に行えるようになっています。

 

20180112
Youtubeの動画から

 

こうしたデモも、「ノイジー・マイノリティ」の一例でしょうね。しかしまあ、「日本なんか殲滅してしまえ」とは…。うるさいというレベルを超えた「恐怖のノイジー・マイノリティ」ですよ。

 

ちなみに、こうした表現はさすがに人権侵害だろう…ということで、法務局に人権救済の申し立てをした人がいたようですが、その人によれば、法務局は「人権侵犯事件調査処理細則第7条第1項第7号」の規定※により、救済手続きを開始しないと決定したそうです。

 

辞書によれば、「殲滅」の意味は「皆殺し」なのですけどね。こんなことを目の前で言われたら、ふつうの人であれば身の危険を感じると思いますが、これでは人権侵害にならない…というのが法務局の見解のようです。

 

でも、このプラカードにある「日本」の文字を、「中国」や「韓国」に書き直して使ったら、すぐに「人権侵害」として扱われるのではないでしょうか…。逆に、「日本」の文字を「米国」に書き直して、沖縄にある米軍基地の周辺でデモをしたら、それは御咎めなしになるような気がしますね。

 

※ 人権侵犯事件調査処理細則第7条第1項第7号

 

当該人権侵犯による被害が生じておらず、又は生ずるおそれがないことが明らかであるとき。

 

 

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