システムダイアリー(SYSTEM DIARY)について

システムダイアリーは8穴サイズ(用紙サイズが横80mm前後×縦140mm前後)のバインダー式手帳で、SYSTEM DIARYの頭文字をとってSD、あるいはSD手帳と呼ばれているものです。自分はこの手帳を20年近く使用しています。

 

自分の正直な印象を言えば、SDは「見た目はあまりよくない」「少数派」の手帳です。リフィルの色合いやデザインが今の世代に評価されるとは思わないのと、8穴サイズの手帳はSD(82mm×140mm)と能率協会のBindex-N(85mm×140mm)の2種類しかないからです。

 

こうした中、Bindex-Nは2010年版を最後に製造中止になりましたので、今後はSDのみが8穴サイズということになってしまいます。その上、以前に比べてSDの取扱店は少なくなり、通販で購入したほうが良い状況です。時間の経過とともに今以上に少数派になりそうです。

 

しかしながら、手帳というものは長く使えば使うほど他のものに変えられないものです。SDが販売され続け、かつ自分が手帳を使うことが無くならない限り、自分はSDのユーザーであり続けると思います。

 

 

■SDの特長

 

他の手帳にも言えることですが、SDには以下の特長があります。

・携帯に便利で、いつでも、どこでもすぐにメモができます。

・必要なデータがいつもすぐ取り出せるファイリングシステムです。

・計画立案とチェックに有効なシステムです。

・アイディアの創造と発展に役立つシステムです。

・時間の有効活用に役立つシステムです。

・ビジネス用具として様々な利便性があります。

 

なお、SDのリフィル(用紙)の短辺82mmを1としたときの長辺140mmは約1.618で、この比率は黄金比と呼ばれています。黄金比は、本来あるべき美しい姿を表している比率とされていて、ピラミッドといった歴史的建造物、ルカミエ像(絵画)といった美術品の中に見出すことができます。

 

SDの開発者の奈良総一郎さんは「手帳の持つ美的安定度が高ければメモを取ったり見たりする際に心理的快適度が大きくなる」と考えていたようです。これもSDの特長といって良いと思います。

 

また、リフィルには色彩調節理論が取り入れられています。色彩調節理論は、人間は暖色に近いほど緊張し寒色になるほど冷静感を感じるという考え方で、SDではこの考えに沿って、緊急を要する「重要シート」には赤色。冷静に考えることが必要な「研究シート」には青色を使うなどしています。こうした点もSDの特長といって良いでしょう。

 

 

■SDの歴史

 

システムダイアリーは、奈良総一郎さんが開発した日本最初のシステム手帳で1968年に「コンピューター手帳」というサブタイトル付で発表されたものです。

 

奈良総一郎さんは、自身が役員を務める会社の職員約50人のためにコンピューターの原理や情報理論を応用した本当に納得できる手帳を作り、自分たちで使いたいとの志のもとにシステムダイアリーを開発しました。

 

開発が終わって実際に手帳を作る段階になって、業者への発注単位が5,000個であるという問題が生じましたが、「いい物なら売れるはずだから、あとでハケ口を考えよう」と考えて発注に踏み切ったそうです。

 

ところが、あらゆるコネを利用して販売したにも拘らず3,000個の在庫を抱えることになってしまいます。そのような中、それを見ていた奈良総一郎さんの奥さんが、システムダイアリーの見本を持って文具店にセールスを始めました。奥さんは「掛け率」(メーカーが小売店に商品を卸す値段)という言葉すら知らないままセールスをしたそうです。

 

その結果、売れた数こそ少なかったようですが、有名店を通じてシステムダイアリーが手帳愛好家の手に渡ることになり、それが幸いして話題が口コミで広がり、発売の翌年にはマスコミの取材を受けるまでになったそうです。

 

奈良総一郎さんの前向きな発想と奥さんの内助の功が無ければ、システムダイアリーは世の中に出回ることが無かったかもしれません。

 

その後はシステム手帳ブームもあって順調に販売数を伸ばしてきたようですが、バイブルサイズ(95mm×170mm)やミニ6穴サイズ(76mm×126mm)のバインダー式手帳に押されて今の状況になりました。

 

 

■なぜコンピューター手帳か

 

SDの設計コンセプトは「コンピューターの情報処理機能を手帳に」です。

 

例えば、SDでは手帳そのものをコンピューターでいうコアメモリー、メモをファイルするケース(カードファイリングシステム)を外部メモリーと考えています。コンピューターでは、コアメモリーでデータ処理を行い外部メモリーでデータを保存するそうですが、SDはその仕組みを取り入れているのです。

 

また、SDでは個人の情報整理の基本は「メモのシステム化」であると考えています。どこでもメモができ、いつでもメモが見られ、それがカードファイリングシステムとして自在に活用できる。といったように、すべての情報が有機的に結合し活用できるようにメモをファイルし、必要に応じて取り出せるような設計になっています。

 

さらに、SDでは紙の手帳=アナログのもつ一覧性や図形表示の特長と、デジタルのデータ処理の長所との組み合わせについても意識されています。SDのリフィル(用紙)のサイズは横82mm×縦140mmですが、これはコンピューターのパンチカード(厚手の紙に穴を開けその位置や有無から情報を記録するメディア)の長辺を4分の3に縮めたサイズです。

 

短辺をパンチカードサイズと同じにしたのは、開発当初から紙の手帳とエレクトロニクスとの結合を意識していたからで、リフィルをマークカードなどとして使う将来がくると考えていたようです。(長辺の方は背広の内ポケットに入るサイズを基準に考えたようです)

 

そして、リフィルには国際標準化機構(ISO)のカラーコードが取り入れられています。カラーコードは、電子部品の値を表示するためにも利用されているもので、SDでは「年間スケジュールシート」の枠の色が西暦年の末尾の数字に対応する色になっています。

(0=黒 1=茶 2=赤 3=橙 4=黄 5=緑 6=青 7=紫 8=灰 9=白)

 

このように、SDはコンピューターの原理や情報理論を応用した手帳になっています。

 

 

■SDの基本的思想(SDのカタログから引用)

 

優れた「個人情報整理システム」を確立するか否かは、その人の一生の知的生産性を左右します。そして、その個人情報整理システムの基本は、「メモのシステム化」にあります。

 

メモのシステム化のためには、いつでも、どこでもメモができ、ファイリング・システムとしてそれらを自在に活用できる手段が必要であり、また、自分の個性、専門、職業、嗜好に適した自分本位のシステムが組み立てられなければなりません。

 

それらの条件を満たしているのが「システムダイアリー」という手帳です。

 

■システムダイアリーからの提案(奈良さんの著書「電脳システム手帳」から引用)

 

SDは、カード・ファイリング・システム理論を採用しているので自分だけのデータベースの構築が可能ですが、そんなSDが提案する重点的カード利用システムが「ベターT・I・M・E・S」です。

 

これは、SDの利用者が工夫して使っているカード・システムの具体例を覚えやすい形にまとめたものです。

【T】(Better Time Management)…時間管理技法

【I】(Better Information Management)…情報管理技法

【M1】(Better Motivation Management)…目標管理技法

【M2】(Better Manpower Management)…人材情報管理技法

【M3】(Better Money Management)…金銭管理技法

【E】(Better Electronics Management)…エレクトロニクスとの結合

【S】(Better Sales Management)…販売情報管理技法

 

SDのマニュアル本と呼ばれている奈良総一郎さんの著書「電脳システム手帳」では、

・時間管理技法…優先順位法、チクラー法の解説。

・情報管理技法…文献シートの活用。

・目標管理技法…マイ・ビジョン、統計表の活用。

・人材情報管理技法…住所録・ウルトラ紙、名刺コントローラーの活用。

・金銭管理技法…金銭物品出納シートの活用。

・エレクトロニクスとの結合…電子手帳、ワープロ、パソコンの連動。

・販売情報管理技法…SDセールス・レポート・システムの提案。

といった内容で紹介されています。

 

※マイ・ビジョンや電子手帳は、現在は取り扱われていないようです。

 

 

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