ヒューマンエラーとは何か

■ヒューマンエラーとは

JISでは「意図しない結果を生じる人間の行為」と規定されています。不本意な結果(事故や損害など)を生み出しうる人の行為(人為的な過誤や失敗)や、そうした不本意な結果を防ぐことに失敗することがヒューマンエラーです。

 

■ヒューマンエラーの原因

ヒューマンエラーが起こる原因として、以下のようなものがあります。

1. 無知…知らない。十分に理解していない。

2. 慣れ…思い込みによる危険軽視(手順の省略などのルール違反)。

3. 錯覚…見間違い。聞き間違い。

4. 情報…指示が曖昧。連絡が不徹底。事故の兆候(ヒヤリハット)の情報や経験が共有されない。

5. 環境…人員や時間に余裕がない。疲労や単調な作業による注意力の低下。

 

■なぜルール違反が起こるのか

ルール違反が起こる原因としては、以下のようなものがあります。

1. ルールに意味がないと感じている。

2. 違反しても危険が少ないと感じている。

3. 違反するほうがメリットが大きい。

4. 違反が習慣化している。

5. 違反しても処罰されない。

最初は守られていたルールも、いつの間にか形骸化していたり、ルール違反が既成事実化していることがあります。特に手順の「省略」はヒューマンエラーの原因になりやすいと言われていますので注意が必要です。

 

 

■ヒューマンエラーへの対策

ヒューマンエラーへの対策としては、以下のようなものがあります。「もし…だったら」といった発想が大切です。

1. 作業しやすくする(認識力や体力に配慮した情報表現や作業手順)

2. 気づかせる(強制覚醒・小異常発生・達成感保留など)

3. 警告を出す(異常について確実かつ直感的に表現した警告)

4. 被害を抑える(小さな事故が大きな事故につながらないようにする)

・強制覚醒策(あえて手間をかけさせる)…2つのボタンを同時に押させるなど。

・小異常発生策(わざと異常を起こす)…頭がぶつかりそうなところに紐をたらすなど。

・達成感保留策(大事なものは最後)…現金が最後に出てくるATMなど。

 

■処罰は効果的か

処罰は「してはいけない」ことは教えられますが、「何をしたら良いか」は教えてくれませんので、ミスをした人に与えるより違反をした人に与えるほうが効果的です。また、処罰は必要ですが、処罰を逃れようとする風潮が生まれると問題ですので、必要以上の緊張感や不安感を与えないような配慮が必要です。

 

■ヒューマンエラーの事例(1)

「日本航空機駿河湾上空ニアミス事故」

この事故は、2001年1月31日に駿河湾上空で発生した航空機同士のニアミス事故です。二機の航空機がわずか20~60mほどの高度差ですれ違う極めて危険なニアミス事故で、衝突を回避するために急降下した一方の航空機の乗員と乗客に多数の負傷者が出ました。

この事故の直接的な原因は、航空管制官による指示と、航空機に搭載された航空機衝突防止装置(TCAS)による衝突回避措置の指示(RA)が矛盾したことでしたので、事故後、指示に矛盾があった場合はTCASの指示を優先するように規則が改正されました。

TCASは、衝突するおそれがある双方の航空機の機長ら乗員に対して、上下に相反する回避措置を採るよう、それぞれ音声により指示(RA)する機能などを有する装置で、管制官の指示では間に合わないような切迫した衝突の危険を防ぐための装置です。

 

 

■ヒューマンエラーの事例(2)

「福知山線脱線事故」

この事故は、2005年4月25日に発生したJR西日本の福知山線での列車脱線事故です。制限速度を超えた列車が右カーブの線路で脱線し、死者107名、負傷者562名の大惨事になりました。

この事故の直接的な原因は、運転士が車掌と輸送指令との無線での会話に気を取られ、ブレーキをかけるタイミングが遅れたこととされていますが、JR西日本の歴代4人の社長が業務上過失致死傷罪で起訴(うち3人は検察審査会の起訴相当の議決による起訴)されるなど、会社上層部の責任も問われました。

この事故では、運転士に対して懲罰的な内容の教育がされていたことが問題視されるなど、安全上の風土や環境が人に与える影響についても注目されました。

 

 

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