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2019/06/07

年金頼み限界?老後に必要な貯蓄2,000万円は嘘か本当か?

長寿化により「人生100年時代」を迎えると、夫婦で2,000万円の蓄えが必要になります…。先日、金融庁がそんな試算を公表しましたが、それを素直に受け取るとすると、年金頼みは限界…ということなのかもしれませんね。

 

ただ、気になるのは、なぜこういう数字を金融庁が公表したのか…です。金融庁の前身は金融監督庁ですが、そこでやっていたことは、金融のルールの整備や適切な運用といったことだったと思うのですよ。

 

そして、それは金融庁になってからも同じだと思うのですよね。金融庁がやっていることは、あくまでも金融行政であって、年金がどうとかいう話しは厚生労働省ではないかと…。

 

また、その厚生労働省は何と言っているかというと、5年くらい前に「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」という財政検証レポートを公表し、「年金は大丈夫です」と言っていますからね。

 

まあ、「年金は大丈夫」の「大丈夫」は、「公的年金給付これからも終身でお支払します」「公的年金は破綻しません」という話しで、金額的に十分な給付か…については別な話しではありますが…。

 

ただ、公的年金の給付に関することについては、厚生労働省から公表するべきではないかな…。金融庁から公表されると、「もっとNISAを使ってくださいという話し?」みたいな印象になってしまうと思う…。

 

さて、そんな年金にまつわる話しですが、金融庁が公表した資料を見ると、確かに2,000万円くらいは不足しそうだな…といった気持ちになります。

 

公表された資料の中には以下のような図があるのですが、これを見ると、月々5万円くらいは不足しているように見えますので…。

 

20190607a

 

でも、意図的かどうかはわかりませんが、この図は全体的にぼやけた感じになっていて、内容(特に実支出のほうの項目名など)がよくわからないのですよね。

 

ただ、どこかで見たような図だな…という印象があったので、いろいろと調べてみたところ、たぶんこの図をもとにしたのだろう…という図が見つかりました。

 

 

それは、総務省統計局のサイトにあった「家計調査報告(家計収支編) 平成29年(2017年) II 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」という資料にあった以下の図です。(PDF)

 

20190607b

 

金額で表示されているか割合(%)で表示されているかという違いはありますが、たぶんこれですよね?

 

ということで、これら二つの図をもとにして、実収入と実支出の項目名と金額を一覧にしてみました。

 

■ 実収入 (209,198円)

・社会保険給付  191,880円

・勤め先収入    4,232円

・事業収入     4,045円

・その他収入    9,041円

 

■ 実支出 (263,717円) ※1

・食料       64,444円

・住居       13,658円

・水道光熱     19,267円

・家具家事用品   9,405円

・被服及び履物   6,497円

・保険医療     15,512円

・交通通信     27,576円

・教育       15円

・教養娯楽     25,077円

・その他消費支出  54,028円 ※2

・非消費支出    28,240円 ※3

 

■ 不足分

・54,519円

 

※1 消費支出235,477円に割合を掛けて計算したようで合計が一致しません

※2 その他消費支出のうち27,388円は交際費のようです

※3 非消費支出とは税金などとして強制的に支払わされる支出です

 

また、さらに実支出部分について、削ることが難しい項目(衣食住など)と多少は調整できそうな項目(教養娯楽+その他消費支出)にわけてみると、

 

・削ることが難しい実支出   184,612円

・多少調整できそうな実支出  79,105円

 

といった感じになりますが、この数字を見たときの印象はどうでしょうね?

 

この数字を見て、「毎月5万円不足するから2,000万円貯金しなくちゃ」という気持ちになるのか、あるいは、「切り詰めた生活にはなると思うけれども、2,000万円もの貯金が無くても何とか生きていけそうだ」になるのか…。

 

まあ、受け取り方は人それぞれだとは思いますが、「定年後も多少の楽しみはあったほうが良い」と思うのであれば、少しでも貯金しておいたほうが良いですよね…といったことは言えるかも…。

 

また、これについて別な言い方をするとしたら、国は皆さんの「老後の楽しみまでは面倒見れないですよ」ということなのだろうと思います。そういう部分は自助努力でお願いします…ということでしょうね。

 

実際、金融庁が公表した資料にある図は2017年の実績値で、「これからは2,000万円蓄えましょう」ではなく、「すでに2,000万円蓄えている人たちがいて、毎月5万円くらいは教養娯楽・交際費として使っています」という話しですし…。

 

でも、資料にある説明は「毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる」と、あたかも「先々そうなります」みたいな表現になっています。

 

正直なところ、このあたりはちょっとどうかな…と思いますね。不安を煽っているようにも感じますよ。

 

また、そう考えると、「やはり金融庁はNISAを売りたいのかな」と思ってしまいます。

 

 

ただ、金融庁が公表した資料にある

 

・今後も更なる長寿化が見込まれている

・高齢の世帯を含む各世代の収入は全体的に低下傾向

 

といった部分は事実だろうと思いますし、そうした状況の中で、

 

・公的年金の水準は今後調整されていくことが見込まれる

・税や保険料の負担も年々増加している

 

となっているのも事実だろうと思います。

 

今はまだ「老後の豊かさは自分でカバー」という「自助努力」の話しで済んではいますが、これが将来、「老後の生活は自分でカバー」という「自己責任」の話しにならないとは言い切れないですよね。

 

■ 本当に年金は大丈夫なのだろうか

 

国民年金法が制定され、いわゆる「国民皆年金制度」がスタートしたのは昭和36年(1961年)ですが、その当時の日本人の平均寿命は、男性が65.32年、女性が70.19年だったのですよね。(平均寿命は昭和35年のデータ)

 

また、当時は55歳定年が主流だったと思うので、単純に考えると、定年になってから10年くらい暮らせるだけの貯金があれば問題なかった…ということだと思います。

 

でも、それが50年後(平成22年)には、男性が79.55年、女性が86.30年になったわけですからね。この頃には60歳定年になっていましたが、それでも定年後の時間は20年と、50年前の倍ですよ。

 

公的年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたのも頷ける…。

 

また、こうした状況の中で今後も年金制度を維持しようとするなら、支給開始年齢のさらなる引き上げや、支給額の減額は避けられないですよね。

 

ちなみに、厚生労働省が「高校生が知っておくべき将来の話し」という資料を作っていまして、その中の「『100歳まで生きる』が当たり前の時代に?」という項目に、こうした年金に関する話しが出ています。

 

高校生向けの資料なのでわかりやすいですよ。(PDF)

 

■ 参考 - 日本人の平均寿命(0歳時における平均余命)の推移

 

          男    女

昭和35年(1960年) 65.32年 70.19年

  45 (1970 ) 69.31  74.66

  55 (1980 ) 73.35  78.76

平成 2年(1990年) 75.92年 81.90年

  12 (2000 ) 77.72  84.60

  22 (2010 ) 79.55  86.30

平成29年(2017年) 81.09年 87.26年

 

※ 数値は厚生労働省の簡易生命表から引用

 

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