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2018/12/05

最大の争点は危険運転致死傷罪が認められるかどうか?

 

2017年6月に発生した「あおり運転」が原因とされている東名高速道路での死亡事故の裁判が、今週の月曜日(3日)から始まったようですね。判決の言い渡しは、今月14日ということです。

 

この事故は、被告(26)がパーキングエリアの通路に車を止めていたことについて、被害者の男性(当時45)から注意されたことに立腹し、男性の妻が運転するワゴン車を執拗に追跡して追い越し車線に無理やり停車させたことで起こりました。

 

停車から3分ほど経過したところで、停車中の男性のワゴン車に後続車が追突し、男性とワゴン車を運転していた妻(当時39)が死亡。また、同じくワゴン車に同乗していた姉妹(当時高校生と小学生)が負傷しています。

 

また、この事故について検察側は、被告が男性のワゴン車を追い越し車線に無理やり停車させ、後続車の追突を招いて男性夫婦を死亡させたとして、被告を危険運転致死傷罪と監禁致死傷罪で起訴していました。

 

一方、弁護側は、この事故は「運転中の行為の結果ではない(被告・被害者の双方の車が停車中に起きた事故)」などとして、「危険運転致死傷罪には当たらない」と無罪を主張しているようですね。(死傷者が出た直接の原因が後続車の追突ということもあるのでしょう)

 

両親2人が死亡し、そのお子さん2人は負傷した上に両親を失っているわけですが、そうした事故の裁判の最大の争点が、「危険運転致死傷罪が適用できるかどうか」というのは何とも言えないところです。

 

ただ、危険運転致死傷罪というのは、それだけ成立要件が厳しい罪(適用するのが難しい罪)ということなのでしょう。

 

また、事故当時に被告を逮捕したのは神奈川県警でしたが、その時の逮捕容疑は、危険運転致死傷罪ではなく、過失運転致死傷罪だったのですよね。

 

その被告について、横浜地検が遺族感情や社会の関心の高さを考慮し、より法定刑の重い危険運転致死傷罪で起訴したと言われています。

 

過失運転致死傷罪の最高刑は懲役7年ですが、危険運転致死傷罪の最高刑は懲役20年ですからね。これだけの事故であれば、当然、重い罪に問うべきだということでしょう。

 

実際、この事件の報道を聞いた多くの方も、そう感じると思いますね。被告の身勝手な行為で人が2人も亡くなっているのに、それで7年では軽すぎです。

 

 

ただ、横浜地検も危険運転致死傷罪の適用が難しいと判断していたようで、その結果が、危険運転致死傷罪と監禁致死傷罪(最高刑は懲役20年)での起訴だったようです。

 

でも、高速道路上で車を停車させたことが監禁にあたるのか(監禁にあたるとしても監禁する故意があったのか)…といった話しもあるようで、監禁致死傷罪が適用できるかどうかについても微妙ではないか…ということです。

 

もし仮に、危険運転致死傷罪も適用されず、監禁致死傷罪も適用されないとなったら、被告は無罪ということになりますね。一般常識では考えられないことですが、法律の世界というのはこういうものなのかもしれません。

 

この裁判については、社会の関心も高く、また、審理期間も2週間と短いので、いわゆる裁判員裁判ではないかと思いますが、裁判員制度の趣旨は、判決への「健全な市民感覚」の反映ですからね。

 

その意味でも、裁判でどういった審理がされるのか。また、14日にどういった判決が下されるのかが注目されそうです。

 

さて、そうした今回の裁判ですが、被害者遺族の話しがいくつか報道されていますね。亡くなった男性のお母さんの話しが中心のようです。

 

事故から1年半が経過しているわけですが、「1年半がたったような気がしない。すぐ亡くなった時のことを思い出す」といった心境とのことです。また、被告に対しては「何も言わないと思う」と感じているそうです。

 

ただ、これは当然のことだと思いますが、被告に対しては「聞きたいこといっぱいあるのに、なんであんなところに止まってたんですかって」といった気持ちもあるようですね。

 

また、「あおり運転の人にも、すごく重い罪だってわかってもらえれば、多少でも(あおり運転が)減ってくれれば、この子はいい国にしたかなって。少しでも世の中のためになれば」とも話しているそうです。

 

こうした報道を見ると、やはり、遺族として処罰感情は強いのだろうと思いますね。あおり運転をなくすためにも、重い罪を科すべきではないかと考えていらっしゃるのではないでしょうか…。

 

一方、被告のほうは…といえば、信じがたい話しも伝わっていますね。産経新聞に「面会なら30万から」という記事が出ていました。

 

20181205
※ 写真は産経新聞の記事から引用

 

何でも、横浜拘置所に拘留中の被告から、産経新聞の記者宛に手紙が届いたのだそうです。(この記者は接見には応じなかったようです)

 

その手紙は、便箋1枚に5行程度のものだったそうで、その写真が記事に出ていましたので、読み取れた部分を文字にしてみました。

 

「俺と面会したいなら30万からやないと受つけとらんけん」

「それが無理なら諦めたがいいよ」

「人の事ネタにするのにタダで面会してもらうとか考えないばい」

 

弁護側は、「被告は事実関係を認め、遺族に謝罪の意向を示している」としていますが、この手紙を見る限り、反省しているとは思えませんね。

 

被告が示しているという「謝罪の意向」についても、自分の罪を少しでも軽くするためのパフォーマンスかもしれません。裁判では、裁判官や裁判員の心証も大事ですので、被告に対して弁護士が催促したのかも…。

 

 

■ 追記

 

3日の初公判の様子も報道されていますね。公判の中で、被告が運転していた乗用車に同乗していた女性や、被害者のワゴン車に追突した大型トラックの運転手の話しが明らかにされたようです。

 

・被告の乗用車に同乗していた女性の話し

「それまでも何度も同じことがあった」

「キレていない時は石橋被告は穏やかで法定速度も守る」

「被告は一度頭に血が上ると周囲の声が聞こえなくなる」

 

・被害者のワゴン車に追突した大型トラックの運転手の話し

「車間距離を十分にとっていれば前の大型トラックが急な車線変更をしてもぶつかることはなかった」

「2人のお子さんの両親を奪ってしまい大変申し訳ない」

「事故のことを考えなかった日は一日もない」

 

また、被告の証言も報道されていますね。それによると、被告は事故までの一連の行為をおおむね認めたものの、被害者や遺族への謝罪の言葉はなかったそうです。

 

被告の弁護士によれば、被告は謝罪の意向を示していたはずなのですけどね。何となくですが、被告が謝罪するとしても、公判中に弁護士から催促されて謝罪するのではないかと思います。

 

■ 追記(2)

 

5日(第3回)の公判で被告が初めて謝罪したそうです。ただ、危険運転致死傷罪については、「法律の条文上、車の走行中が前提。停車後に事故が発生した本件には適用できない」として無罪を主張している点は変わっていないようですね。

 

確かに、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(略称は「自動車運転処罰法」または「自動車運転死傷行為処罰法」)の第2条4号を見る限りでは、「走行中」が前提のように感じます。

 

「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」

 

ただ、一般に「走行」(あるいは「運転」)というのは、停車も含めて速度の加減があるものですからね。「重大な交通の危険を生じさせる速度」が速度0Km/hであってもおかしくはないと思います。

 

14日の判決がどうなるかはわかりませんが、このような考え方(法解釈)にもとづいて「危険運転致死傷罪」が適用される可能性もゼロではないような気がしますね。

 

むしろ、この事故に「危険運転致死傷罪」適用されなければ、何のための法律なのかと思いますよ。

 

■ 追記(3)

 

6日(第4回)の公判の様子が報道されていました。この日は、東名高速での事故の件と合わせて起訴された山口県内で起きた事件の強要未遂罪2件と器物損壊罪1件の審理が行われたようです。

 

被告は昨年5月と8月に、山口県内の道路で相手の車の前に割り込むなどして停車させ、車外に出ることを要求。また、車のドアを蹴って壊したということですが、器物損壊罪は認めたものの、強要未遂罪は2件とも無罪を主張したそうです。

 

■ 追記(4)

 

10日の公判の様子が報道されていますね。これで裁判は結審し、14日に判決が言い渡されるということですが、この公判で検察側は、懲役23年を求刑したそうです。

 

東名高速道路での死傷事故(危険運転致死傷罪・監禁致死傷罪)のほかに、山口県内での交通トラブル(強要未遂罪2件・器物損壊罪1件)についても併せて求刑したようで、それで懲役23年なのですね。

 

また、求刑の際に検察側は、東名高速道路での死傷事故について、「何度も割り込むなど執拗かつ危険な運転。長女、次女は両親を目の前で奪われ、精神的な苦痛は筆舌に尽くしがたい」と指摘したそうです。

 

 

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