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2018/06/14

何が事件の引き金になったのか…新幹線殺傷事件の動機は?

 

9日の夜、東京駅21時23分発の「のぞみ265号」の車内で、刃物を持った男が乗客3人を切りつけるという事件がありましたよね。新幹線という逃げ場のない空間で起きた惨劇だっただけに、この事件はマスコミでも大きく取り上げられました。

 

容疑者の男は、駆け付けた警察官らによって現行犯逮捕されましたが、この事件で30代の男性1人が死亡し、20代の女性2人が負傷しました。報道によれば、最初に女性2人が相次いで襲われ、最後に男性が襲われたようです。

 

また、亡くなった男性は、被害に遭った女性を助けるために容疑者と揉み合いになったということでした。命を落とす結果になってしまったのは非常に残念です。男性のご冥福をお祈りします。

 

さて、こうした今回の事件ですが、新幹線の車内で乗客が亡くなる事件が起こったのは初めてではないですよね。1993年8月には男性が刃物で刺殺されていますし、2015年には放火によって女性が亡くなっています。

 

そうした事件をきっかけとして、東海道新幹線では車内への防犯カメラの設置が進んでいて、昨年末の時点で9割の車両に防犯カメラの設置が完了しているそうです。

 

ただ、防犯カメラに犯罪抑止効果はあっても、今回のように明確な犯意を持った人間に対しては無意味ですからね。防犯カメラだけでは、こうした犯罪を防ぐことはできません。

 

新幹線でも、飛行機のように搭乗前の保安検査が実施できればそれに越したことはないと思いますが、運行本数や乗客数、駅の数などを考えると、現実的な対応とは思えません。

 

報道でも言われている通り、今のところは車内に警備員を配置する程度の対応しかできないと思いますね。ただ、これにも費用が必要ですから、実際にそうできるのかどうかはわかりません。

 

2年後には東京オリンピックが開催されますので、テロ対策という意味でも新幹線のセキュリティは強化しておいたほうが良いと思いますが、JRだけで十分な対応をするのは難しいような気がします。

 

 

ところで、今回の容疑者はなぜこのようなことをしたのでしょうね。報道によれば「むしゃくしゃしてやった」ということですが、それだけの理由で無差別殺人とも言えるようなことをするものでしょうか。

 

ちょうど10年前(2008年6月)に起こった秋葉原通り魔事件(秋葉原無差別殺傷事件)の容疑者も、今回と似たような理由で犯行に及んだという話しでしたが、こういった事件を起こす人の心理は理解しがたいですよね。

 

ただ、犯罪学者の中には、こうした「無差別殺人」が実行されるのは複数の要因が積み重なったときである…といった説を唱えている人もいるので、そうした視点で事件を見てみると、多少は理解できるところもあるのかもしれません。

 

ちなみに、アメリカの犯罪学者であるジェームズ・アラン・フォックス氏とジャック・レヴィン氏によれば、無差別殺人では、以下の6つの要因が犯行の引き金になるということです。

 

(1)素因1:長期間にわたる欲求不満

(2)素因2:他責的な傾向

 

(3)促進要因1:破滅的な喪失

(4)促進要因2:コピーキャット

 

(5)容易にする要因1:社会的・心理的な孤立

(6)容易にする要因2:武器の入手

 

     *

 

(1)素因1:長期間にわたる欲求不満

 

新幹線殺傷事件の容疑者は、学校を出て一度は就職したものの、職場の人間関係を理由に1年ほどで退職しているようで、両親とも折り合いが悪かったそうです。

 

また、秋葉原通り魔事件の容疑者も、職場の人間関係などを理由に職を転々としていたようですが、ひょっとすると、このあたりのことが素因になっている可能性もありそうですね。

 

(2)素因2:他責的な傾向

 

自分の人生がうまくいかないのは他人や社会のせいだ…と思っている傾向があるかどうかですが、今回の事件の容疑者については、そうした傾向があったのかどうかはわからないですね。

 

ただ、秋葉原無差別殺傷事件を起こした容疑者は、自分の挫折や失敗を「親や社会のせい」だとして、責任転嫁をしていたように記憶しています。

 

何でも他人のせいにする人は復讐願望が強く、社会に復讐するために無差別殺人を起こす危険性が高いということですが、今回の事件の容疑者も、そんな感じだったのでしょうか。

 

 

(3)促進要因1:破滅的な喪失

 

新幹線殺傷事件の容疑者は、事件前に家出をしているのですよね。また、秋葉原通り魔事件の容疑者も、職場を飛び出すようにして犯行に及んでいます。もしかしたら、何かしらの喪失体験があってのことかもしれません。

 

(4)促進要因2:コピーキャット

 

以前に起こった無差別殺人事件を模倣したかどうかですが、今回の事件の容疑者は、新幹線の車内で起こった2015年6月の放火事件のことが頭にあった可能性もありそうですね。

 

秋葉原無差別殺傷事件のほうは、そういった話しは無かったような気がしますが、1999年9月に発生した池袋通り魔殺人事件(刃物で通行人を次々と襲った)を模倣した可能性も考えられます。

 

(5)容易にする要因1:社会的な孤立・心理的な孤立

 

新幹線殺傷事件の容疑者は家庭で孤立し、秋葉原通り魔事件の容疑者も職場で孤立していた可能性がありますので、この要因については当てはまりそうな気がします。

 

(6)容易にする要因2:武器の入手

 

今回の事件の容疑者も秋葉原無差別殺傷事件の容疑者も、ともに簡単に入手可能な刃物を使って犯行に及んでいましたので、この要因も当てはまりますね。

 

     *

 

いづれにしても、面識すらない他人の命を簡単に奪うような犯行に対しては怒りを感じます。また、それと同時に、自分が被害者になる可能性もあるわけで、そう考えると恐怖を感じますよね。

 

街中を歩いているときであれば、逃げられる可能性も多少はありそうですが、今回のように、ある種の密室空間で事件に遭遇したら、逃げるに逃げられませんし…。

 

こういった事件は、二度と起こって欲しくないですね。

 

 

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