« 今までの議論をアウフヘーベンして希望の持てる政策を… | トップページ | 霞が関の公務員の約半数は過労死ライン超えの状態で勤務している »

2018/02/24

「働き方改革」よりも「政権批判」を重視した国会戦略?

 

国会で審議されている「働き方改革」の話しですが、厚生労働省が出した資料に間違いがあったということで揉めていますね。これは、結果的に政府の答弁が間違っていたという話しでもあるので、野党も鬼の首でも取ったかのような騒ぎです。

 

野党の主張としては、「裁量労働制の拡大によって長時間労働が助長されるのではないかという批判の中で、安倍政権が捏造したデータを出してきた」といったところでしょう。「働き方改革」よりも「政権批判」を重視?

 

結局、首相は国会答弁を撤回し、厚生労働省も、「答弁のもとにしたデータの調査方法が異なり単純に比較できないものだった」と釈明して謝罪しましたが、これで野党側が引き下がるとは思えませんね。

 

ということで、「働き方改革」の話しをしている間は、この話しも続くのだろうと思います。

 

でも、不思議ですよね。霞が関のお役人が、単純に比較できないようなデータを使用して比較資料を作ったなんて…と思い、この関係の新聞記事などを見てみたのですが、その中で毎日新聞の記事とNHKの記事の内容が気になりました。

 

毎日新聞の記事には、今回の裁量労働制のデータ問題の経緯が出ていましたが、それによると、以下のような経緯があったようです。

 

2013年10月 厚生労働省が「労働時間等総合実態調査」の結果を発表

2015年 3月 厚生労働省が労働時間を比較するデータを民主党(当時)に提示

2015年 7月 厚生労働大臣(当時)が「一般労働者のほうが平均で長い」と答弁

2017年 2月 厚生労働大臣(当時)が再び答弁

2018年 1月 首相が「一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁

2018年 2月 野党の指摘で厚生労働省が謝罪

 

2013年10月の時点で、厚生労働省が一般労働者と裁量労働制のデータを作成していたようですね。それぞれのデータはまったく別なもので、内容的にも問題はなかったと思われます。(裁量労働制と一般労働者を比較していない)

 

また、厚生労働省は2015年3月、そのデータをもとに一般労働者と裁量労働制を比較するデータ(2つのデータを1枚にしただけ?)を作成し、民主党(当時)の部門会議に提示したようです。

 

2015年3月といえば、第3次安倍内閣のときですが、なぜここで自民党ではなく民主党(当時)の部門会議に提示したのでしょうね。与党であれ野党であれ、要求されたら出すということなのかもしれませんけど…。

 

また、この問題について最初に国会で答弁したのは、安倍首相ではなく当時の厚生労働大臣の塩崎さんだった…ということがわかりました。

 

 

さて、もう一方のNHKの記事ですが、内容的には「単純比較できないデータだったと厚労省が謝罪」といったもので、厚生労働省の釈明と謝罪、首相の答弁撤回といった話しが出ていました。

 

その中で気になったのは、

 

「平成27年3月に、当時の民主党の厚生労働部門会議で一般の労働者と裁量労働制で働く人の労働実態を見ることができるデータがないかといった議論を受けて初めて参考資料として提出した」

「提出した資料は比較を意識して作ったものではない」

「省内で十分確認されないまま国会での答弁でも引用されていた」

 

といったことを、厚生労働省が説明したという部分です。

 

毎日新聞の記事も同じでしたが、この比較資料を最初に見たのは、やはり当時の民主党(の厚生労働部門会議)のようですね。

 

また、「一般の労働者と裁量労働制で働く人の労働実態を見ることができるデータ」という、明らかに比較することが目的と思える話しで出したデータを、「比較を意識して作ったものではない」と言うのはどうかと思いました。

 

そして、「十分確認されないまま」の部分も合わせて考えると、責任逃れと言われても仕方がない話しだと思いますね。「私たちは知りませんので」と言っているような話しですよ。

 

何となくですが、どうしても「裁量労働制のほうが労働時間が短い」という資料が欲しくて、渋る厚生労働省にデータの提出を無理強いした人でもいたのではないでしょうか。

 

それに応じて資料を出した厚生労働省のお役人も、「ふつうに考えれば裁量労働制のほうが労働時間が長いと思いますよ」みたいなことを言いながら資料を渡したかもしれません。

 

そして、いったん役所の外に出た資料ということで、今回、その資料が独り歩きしてしまったとか…。まあ、真相はわかりませんが、こうしたことで「働き方改革」の話しが止まってしまうのはどうかと思いますね。

 

■ 2018.2.26 追記

 

データの不備が見つかった「労働時間等総合実態調査」ですが、調査が計画されたのは旧民主党政権下だったという報道がありました。

 

この調査は、中小企業における残業代の割増賃金率の引き上げ状況などについて検討するために行ったもので、「安倍政権が裁量労働制を拡大するために実施した」との批判は間違いだったようです。

 

 

« 今までの議論をアウフヘーベンして希望の持てる政策を… | トップページ | 霞が関の公務員の約半数は過労死ライン超えの状態で勤務している »

「日記」カテゴリの記事