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2016/03/03

認知症患者の監督義務を負う人の範囲が広がる?

認知症患者の男性がJRの線路に入り、電車にはねられて死亡した事故について、JR側が起こした損害賠償請求訴訟の最高裁判決が出ましたね。結果は、JR側の敗訴で終わりました。

 

この裁判は、当時91歳の認知症患者の男性が起こした人身事故について、JR側が振替輸送などの費用を男性の家族に請求したもので、第一審の判決では、男性と同居していた当時85歳の妻と、別居していた長男に約720万円を支払うように命じています。

 

妻については、夫の見守りを怠った過失があるとして。また、長男については、事実上の監督者にあたるとして支払いを命じたのですが、この判決が出た当時も「あまりにもひどい判決」といった批判がありましたよね。

 

そして第二審の判決では、長男への請求が退けられて、妻にのみ支払いを命じています。請求額は、妻の経済状況や、男性が線路に侵入したフェンス扉の施錠が不十分だったといった事情を考慮して、約360万円に減額されたようです。

 

そして今回の逆転判決になりましたが、この損害賠償請求には、最初から無理があったように思いますね。徘徊を伴う認知症患者を、85歳の女性が完璧に介護できるとは思えませんし、別居している家族も同様でしょう。

 

ただ、JR側も訴訟しないわけにはいかなかったのでしょうね。他の人身事故との扱いに差があれば、それはそれで問題になりますし、損害を受けて請求しなければ、それは最終的に運賃として利用者が負担することになってしまいますからね。

 

また、今回の判決は、認知症患者の介護に苦しむ家族にとっては良かったように思えますが、報道では「家族が監督義務者にあたるかどうかは、監督が可能で容易な立場だったかなどを総合的に考慮すべき 」とあるので、手放しでは喜べないようです。

 

例えば、妻が男性の成年後見人(認知症患者のような責任能力のない人に代わって不法行為責任を負う人)だった場合はどうだったか。あるいは、長男が男性と同居しており、男性の介護に関わっていた場合はどうだったか。

 

さらに、成年後見人でもなく同居の家族でもないが、男性の介護に深くかかわっているような人がいた場合はどうだったかなどを考えると、むしろ、責任を負担する可能性のある人の範囲が広がるのではないかと思いました。

 

 

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